liner notes

Somewhere

TEXT/真貝 聡

誰にだって生まれ育った故郷があって、子供の頃に見た心に焼き付いている風景がある。駅前の古びたカラオケボックス、行列のできない小さな神社、ベンチが2つしかない公園……誰かにとっては、どうってことない光景もある人にとっては、かけがえのない思い出の詰まった場所だったりする。『Somewhere』は、そんな毎日見ていた何気ないはずの景色が、いかに尊いものかを教えてくれる。

Sunday:10代のときに友達と見た雨上がりの虹とか、夜中にバイクで走った後にコンビニで缶コーヒーを飲みながら見上げた月ってすごく綺麗だったよね、と思うんです。もう当時の友達と会うことはないけど、各々一生懸命生きて、いずれ死んで、灰になって。あのときに僕らが空を見上げて綺麗だなと思ったように、いずれは自分たちも星になって、誰かが見てくれるんじゃないかなって。そんなことを歌っています。

演奏に関しては、独特な温かい音色を奏でるローズ・ピアノを取り入れたことで、シンプルながらも表情のあるサウンドとなっている。イントロのギターとピアノの音を聴いた瞬間から、心に毛布をかけられたように優しい気持ちになれる。

Sunday:70年代のユーミンさん(荒井由美)とか松任谷正隆さんのアレンジを意識して作りました。いろんな楽器を取り入れたことで、聴く人がそれぞれの情景をイメージしてもらえるようにしてます。まさに70年代に日本の音楽シーンの方がやっていたようなことを僕らなりに解釈した楽曲です。

小学生の頃、夏休みを利用して母親の田舎・新潟へ行った。そのとき、おばあちゃんと手を繋ぎながら見た夕日がとても綺麗で、子供ながらに思わず見惚れた。「綺麗だろ……でも、きっとこの景色を忘れる日が来る。そしたら、また新潟へ戻っておいで」そう言って、おばあちゃんは僕の手を強く握った。僕はそれ以来、新潟へ帰ってない。この曲を聴きながら、そんなことを思い出した。