liner notes

We are all

TEXT/真貝 聡

中学生のとき同じ学年にショートカットで、目は大きくて、色白で、誰とでも明るく話す女の子がいた。当時の僕は思春期で異性と喋るのが苦手だったので、彼女と一度も話したことはなかったが、密かに恋心を抱いていた。しかし、中学1年の夏休みが明けてから彼女の姿を見ることはなくなった。学年で目立っていたので他の女子生徒から妬まれて、「日本人じゃないくせに」とイジメへと発展。彼女は在日朝鮮人だった。それが原因で不登校になったのだという——。いやいや、そんなことではなく『We are all』が作られた話をしなければ……。

Sunday:学生の頃から戦争に関する本をいろいろ読み漁っていたんです。なぜ戦争が起きたのか僕なりに調べたら、“差別とか他者を認めないことが原因だ”という答えに行き着いた。それなら先に“私たちは1つで、私たちが全て”だと言ってしまおうと思って『We are all』を作りました。先に明言してから“私たちが1つになるためにどうすれば良いのか考えていこう”という曲なんです。

『We are all』の歌詞に<僕らが踊るこの夜に/悲しいニュースは似合わない>という一節がある。ライブのMCを聴いていても、直接お話しをしてもSundayさんは「僕と君」ではなく「僕ら」という言葉をよく使う。SNSが広まって、個を発信する時代において自分と他人に境界線を作らず、同じ目線で物事を捉えようとする姿勢はSundayさんらしい。

Sunday:この曲が出来てから、ライブ前はバンドのみんなと “俺たちは1つだ、We are all”と掛け声をしてステージへ向かうようになりました。バンドだけに限らず、全てのコミュニティで仕事をするとか何かをするときって、最初はてんでバラバラじゃないですか。社会とは、そんなバラバラな人たちが集まって何かをやる連続なので、とりあえず “自分たちは1つだ”と言い聞かせることを大切にしようと思いました。自分のこと、相手のこと、ワンダフルボーイズは6人いるので“6人のことを並行して考えましょう”みたいな。これが出来てからライブが良くなりましたね。

僕はライブを観に行って「隣の人と肩を組んで一緒に歌いましょう」みたいなことを言われると、気持ちがげんなりする。そして誰とも肩を組まないまま、楽しそうにしているステージのバンドメンバーや観客を見て「この会場の中で自分は1人ぼっちだ」という気持ちに陥る。「とりあえず楽しい気持ちになりましょう」という空気がものすごく苦手だ。しかし、そんな自分がワンダフルボーイズのライブで自然と笑えるのはなぜだろう。

Sunday:戦争やそれに伴う政治について、歴史的にどんな背景があるのかを知識として身につけないまま、ネットに出てるだけの情報で言い争っても仕方ないし、双方向、客観的に平和について考える事が僕の音楽制作の原点だし、その為に色んな本を読まないと自分のやりたい音楽像に近づいていかないと思ってるんです。

僕のように誰かと1つになることが苦手な人もいることを承知で、ワンダフルボーイズは『We are all』と歌っている。ただ「1つになろうよ」ではなくて、いろんなことを引き受けた上で「私たちは1つだ」と。——原稿を書きながら、不登校になった彼女のことを思い出していた。もしもあのとき、彼女を嫌った生徒たちが『We are all』を聴いていたら、あの子の世界は変わったかもしれない。